~地球が直面する環境問題~ ③水質汚染
~地球が直面する環境問題~ ③水質汚染
ZEAL. TEAMはリユース業界のプロフェッショナル集団として世界規模での「持続可能な社会」を実現することを目指しています。
今回も前回に引き続き、地球が直面する環境問題を取り上げ、紹介していきたいと思います。第3弾は水質汚染です。水質汚染は、地球温暖化と同様に現代社会が直面している深刻な問題の一つとして注目されています。
水質汚染の原因
水質汚染の主な原因には、産業排水、生活排水、地球温暖化の3つがあります。
産業排水は工場や農場から排出され河川や湖に流れ出たもので、日本では以前、水俣病やイタイイタイ病などの公害が産業排水によって引き起こされました。
一方で家庭から出た排水を生活排水と呼び、川や海の汚染の約70%はこの生活排水が原因だといわれています。その中でも約40%が台所からの生活排水によるとされ、例えば1cmの油を海に流せる水質に戻すためには約200リットルもの水が必要だとされています。
産業排水や生活排水の他にも、地球温暖化も水質汚染の原因の一つとなっています。具体的には地球温暖化による水温上昇が原因でプランクトンが過度に増殖し水質悪化を促しているとされています。次に水質汚染によってどんな被害が起きているかについて見ていきましょう。
水質汚染による被害
-野生生物の絶滅の危機-
水質汚染によるプランクトンの増殖で海洋中の酸素が減り、魚の大量死などが引き起こされます。また、水質汚染が要因で絶滅が危惧されている動物も少なくありません。環境省によると絶滅危惧海洋生物のレッドリストには56種が選定されています。水質汚染が原因の一つで既に絶滅してしまった野生動物もいます。ニホンカワウソはその一種です。20世紀における河川開発によって生活環境が悪化し激減したとされ、1979年の目撃情報を最後に確実な生息情報はなく2012年に絶滅種に指定されました。
-飲料水への影響-
世界で水道水が飲める国は日本を含めわずか12カ国であり、なかでもアフリカ大陸では南アフリカ共和国のみが水道水が飲める国です。世界の下水道が整備されていない地域では、工業廃水などがきちんと処理されないまま川や海に流されることがあります。このような汚染された水は、それを使用せざるを得ない人々に様々な健康被害をもたらしています。独立行政法人国際協力機構JICAによると、世界で約6億6000万人の人々が安全な飲料水を利用できていないとされています。やむを得ず安全でない水を飲むことで、コレラや赤痢などの感染症に罹患し、年間で約50万人の命が断たれています。
日本でも毎年、健康に影響が起きた水質汚染事故が発生しており、簡易専用水道からノロウイルスが検出されるケースもあります。
-親水活動への影響-
アオコ(写真左)や淡水での赤潮発生(写真右)による親水活動への影響が懸念されます。アオコの発生はph(水素イオン濃度)の上昇や溶存酸素の低下、魚類の大量へい死、悪臭、浄水過程でのろ過障害など様々な問題を引き起こします。
また赤潮による被害額は膨大になります。環境省の「せとうちネット赤潮による漁業被害一覧」が提示するデータによると、2004年に発生した大阪湾と播磨灘の赤潮で養殖ノリの色落ちにより約58億円の被害が出ています。
水質汚染に対する取り組み
水質汚染に対してこれまで多くの国と地域で様々な対策が取られてきました。ご存知の方も多い通り、国連で2015年に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の6番目の目標には「すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する」という項目があります。私たちは水道の蛇口をひねればいつでも安全な水が飲めますが、大半の国はそうではありません。SDGsの6番目の目標に貢献するべく日本では発展途上国を中心に様々な支援活動を行っています。日本政府は2016年、西アフリカにあるベナンの2つの都市において5つの井戸を建設し、これによって5つの村の住民が飲み水を確保できるようになりました。国内では「イタイイタイ病」や「水俣病」等の公害病対策として1970年、水質汚濁防止法が制定され長年にわたって水質の安全が保たれてきています。この法令では、工場・事業場からの有害物質を含む排水や地下水への浸透を規制することで水質汚濁を防止しています。2011年にはこの法律は改正され、施設の構造などに関して基準の遵守や定期点検及びその結果の記録・保存を義務付けられ、より徹底した管理体制が敷かれました。
日本政府としての取り組みだけでなく、私たち個人個人でもできることは少なくありません。東京都環境局によると、都内で川や海に流される汚濁の70%以上は生活排水に起因しているとされています。生活排水をなるべく出さないようにするためには家庭でどんな対策が行えるでしょうか。例えば、油をそのまま排水溝に流さないことや適量の洗剤を使うこと、またそもそも食べ残しや飲み残しをしないことは水質汚染だけではなく食品ロスなどにも貢献します。小さなことからでもコツコツ取り組むことで、私たちの住んでいる環境や生態系を守り、水質汚染による被害の防止にも繋がります。
今回は『地球が直面する環境問題』をテーマに、水質汚染についてご紹介いたしました。 私たちZEAL.TEAMは『リユースの力で未来を拓く』を理念に、今後も環境問題に目を向け、世界にリユース事業を展開していきます。
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